―キスの後は―


初めてのキスの味は甘酸っぱく…

息もできないぐらい苦しくて…

苦しくて…

くる…し…い…

(んんっ?!)

プハーッ!
ハァッハァッハァ…

長い長いキスの後、僕はついに我慢できなくなって佐奈から離れ、彼女に背を向けた。

(あぁ~、死ぬかと思った。)

キスは息を止めてするものだと思っていたから。

(もぉ、ベン!
そんな恥ずかしがらんでもええのに。
うちかて同じ気持ちやねんで。)

幸い佐奈には気付かれていないようだ。

でも、さすがに顔を合わすのが恥ずかしい。

星一つない夜空を見上げながら大きく深呼吸をした。

そして次の瞬間、佐奈の口から思いがけない言葉が…!

「なぁ、ベン。
今からうちのアパートに来る?」

(えっ?!それってまさか……
ナニでナニするって事?!)

急におじさんの変な言葉が思い浮かんだ。

「ひょ、ひょえっ!?」

驚きのあまり、また声が裏返ってしまった。

うつむき加減で少し照れている佐奈に僕は何て言えばいいのだろう……

キスをしただけでも十分満足しているのにその上、アレまでも…

「どうする?」

佐奈は少し甘えた声で迫ってくる。

(こういう時って女性の方から誘ってくるものなのか?!)

夢で見た光景が段々と目の前に浮かんできて次第に男の本能がメラメラと燃え上がってきた。

(迷う事はないんだ。)

返事はもちろん!

「は、はい。やります!」

「えっ?!」

しまった!間違えた!