ガリ勉くんに愛の手を

もうずい分時間が過ぎたような気がする。

ほとんど手の感覚がなくなって思うように動かない。

(そろそろ限界かな。)

こんな状況の中、僕は色んな事を振り返ってみた。

(もし今、タイムスリップして過去に戻れるとしたら、どの時点に戻りたい?)

そう自分に問いかけてみる。

オーディションを受ける前?

あゆ美と出会う前?

それとも……
満男に連れられ、【たこ萬】に行く前?

いや、大阪に来る前に戻れば何事もなく平凡な生活を送っていたんだろうな。

親の言う通りによそ見せず、ちゃんと勉強していれば大学にも合格して、いつか医者にだってなれたんだろうな…

自分で見つけた夢なんて所詮叶わないものなんだ。

こう言う結果になって自分の選んだ道が間違っていた事に気づく。


「何言うてんねん?!ベン。お前はそんな弱いヤツやったんか?!」

(おっちゃん?)

どこからか聞こえてくる声。

「勉、俺らずっとマブダチやからな!」

(みっちゃん?)

「勉ちゃん、私はあなたをずっと応援してるわよん。」

(イッコーさん…)

「あなたは無限の可能性がある。私が見つけたんだもの。」

(あゆ美さん…)

姿は見えないが、みんなの声が確かに聞こえた。

僕が過ごしたこの2年半、ここでの出会いは無駄なものだったの?

違う、それは違う。

ここで出会った人たち。

そしてみんなと過ごした時間。

その全部が僕が見つけた人生の宝物なんだ。

自分で決めた道に進んだ事を後悔せず、最後まで諦めずにやり抜く事を…

そんな勇気を僕に与えてくれた。

それに気づかせてくれた。

夢は自分で見つけるんだ。

だめならまた新しい夢を見つければいい。

今からでも…

僕にできるかな?

今は自信がないけど、みんなが支えてくれる。

そしてもしその夢を一緒に見つけてくれる人がそばにいてくれたら。

僕のとなりにあの人が…