ガリ勉くんに愛の手を

席に座った僕を他の客が注目している。

その視線が気になってしょうがない。

みんなは僕をどんな風に見ているのだろう?

やっぱり場近いな人間だと思っているの?

時々、電車の中でも僕を見てクスクスと笑う声が聞こえて来る。

それと同じ、段々心細くなってきた。

「さあ、何注文する?」

嫌な雰囲気をさえぎるようにおじさんが声をかけてくれた。

僕はカバンの中からあの[割引券]を取り出しおじさんに渡した。

「これ。ここで働いている[ガングロギャル]のお姉さんにもらっ…」

(あっ…いけない。)


おじさんは一瞬、目を点にしたがすぐに爆笑した。

「はっはっはぁ~!
それ、佐奈の事か?!」

思わず、出てしまった言葉。

「いや~そりゃええわ。
確かに[ガングロ]と[ギャル]をミックスした感じやな。」

「いえ、その、つい……」

今さら言い訳をしても遅い。

「まあ、佐奈には言わん方がええで。
アイツ怖いからな!」

僕は大きくうなずいた。