ガリ勉くんに愛の手を

たこ焼きを食べに行くだけなのにやけに緊張している。

(あのギャルにあったらなんて言おう…)

まずは割引券のお礼を言おう。

そしてあの時のお礼も…

そう、あの時…

僕は思い出した。

地下鉄で痴漢容疑をかけられた時。

あのギャルが僕の無実を証言してくれたんだ。

結局、信じてもらえなかったけど…

確かに見た目はおっかないけど、もしかしたら優しい人なのかも知れない。

(そうだといいな~)

色々考えているうちに店の前についた。

まだ5時過ぎ。

店の中はまだ席に余裕がある。

この前は満男と二人、今日は僕一人。

少しためらった。

一人で飲食店に入る事などなかったから。

入口の前を行ったり来たり…

(どうしよう…)

悩むほどの事でもないのに。

ウロウロしていると不審者だと思われるかな。

「いらっしゃい!」

(え?!)

「うちの店に来てくれたんやろ?」

「は、はい。」

声をかけられて入りやすくなった。

「お邪魔します。」

「さあ、一人やったらカウンター座って。」

店のおじさんがカウンターに案内してくれた。