ガリ勉くんに愛の手を

僕は言葉をつづけた。

「見た目は怖い彼女ですが、本当は…

とても素直で思いやりがあって気が強そうに見えるけどすごく寂しがり屋で…

たまに見せる彼女の笑顔がまるで太陽の下でニコニコと笑うひまわりのようで、いつも僕の心を温めてくれました。」

どうしたんだろう?

まるで僕じゃないみたいにスラスラと言葉が出てくる。

「その笑顔を見るたびに僕の心臓は激しく波を打ち、いつしか彼女の事で頭がいっぱいで勉強も手につかなくなって…」

会場内はいつしか僕の言葉にじっと耳を傾けていた。

「そんな彼女が…
ある日突然、僕の前から消えてしまいました。」

急に体の奥から何かがこみ上げてくるのを感じた。

「でも僕は…
ずっと彼女の姿を追い続けています。
今でもずっと…

…会いたい。」

目に熱いものが浮かんで前がぼやけている。

(佐奈さん。どこかで僕を見てくれていますか?
僕はここにいます。)

これ以上何も話す事はない。

「すみません。
これで終わりにします。」

観客席に向かって軽くお辞儀をすると元の場所へ戻って行った。

僕は肝心な事を口に出して言わなかった。

でもいいんだ。

彼女への想いはここでは言えない。

言いたくない。

歯切れの悪い終わりかたに会場中がざわめいた。

司会者が困惑しているのを見てちあきが終了の合図を送った。