ガリ勉くんに愛の手を

「…もしかしてこれ探してる?」

(あ!それ、僕のサイフ……)

「さっき店で拾ってん。」

(…どうしよう、すでに奪われている。

せめて定期だけでも返してもらわないと電車にも乗れない。)

なんて言えば……

とりあえず怒らせないように…


「あんたのん違うの?
どっちなん。」

(うわっ、怒ってる。)

ギャルの迫力はすごい。

「いるの、いらんの?」

「は、はい。出来れば戻ってきてほしいとは…
思いますが……」

これが精一杯の返事だ。

「意味わからんわ。
そうやって優柔不断な態度取るからカモにされんねん。」

(カ、カモにされる?)

僕は「カモ」と言う言葉を聞くと背筋がゾクッとする。

いやな記憶が再びよみがえってきた。

そしてこの「ギャル」とは今日初対面でない事にようやく気付いたのだった。