ガリ勉くんに愛の手を

トレーニング開始から2時間が過ぎ、もうすでに限界を超えていた。

そんな事はお構いなしにイッコーは次の予定を組んでいる。

「15時からはエクササイズね。」

(エクササイズ?)

「これは私がもっとも得意とする分野なの。
個人レッスンだから安心してん。」

(個人レッスンだからなおさら怖い…)

さっきのジムを出てまた上の階へと上がって行く。

できれば階段を使いたいものだ。

着いた7階は非常用の電気だけが光って見えるほど薄暗い場所。

人気のない廊下を真っ直ぐ歩いて行くとそこに扉が一つ。

「ここは私がプライベートレッスンをする時に使う部屋なの。」

(なんのプライべートレッスンだろう…)

「それは色々よん。」

(うゎっ、一人ごとなのにどうしてわかるの?)

「勉ちゃんの考えぐらい全部お見通しよん!」

(うそっ?!)

僕にウインクを飛ばしたイッコーは部屋の鍵を開けている。

(こんな頑丈に鍵をかけて、もしかして中からも鍵が…?)

恐ろしい疑問をもう一つ抱いてしまった。

(この人は僕の心を全部お見通しだ。
気をつけないと…)

「さぁ、中に入って~。」

その色気づいた声はできれば止めてほしい…

部屋の中は全面ガラス張りでダンスホールのようだ。

「さぁ、こちらへどうぞ。」

イッコーは広いホールの中央に僕を立たせその周りをゆっくりと歩き回った。

(この人、何をする気なんだろう…)