おじさんも佐奈が明るく振舞いながら時々見せる寂しそうな顔を見て気づいていた。

(佐奈、お前ベンの事を?健二とうまくいかんかった理由はもしかしてベンか?)

多分、佐奈自身も気づいていないはず。

店が終わりあと片づけをしている時、おじさんが佐奈に声をかけた。

「佐奈。」

「何、おっちゃん。」

「これ店に落ちてたんやけど…」

おじさんから小さな箱を受け取った。

(これは…?!)

「捨てていいもんかどうか、わからんから置いてたんやけど、どないしょう?」

佐奈は一瞬返事に迷ったが、

「おっちゃん、これうちがもらっていい?」

「俺はいらんし、お前が欲しかったら好きにしろ。」

「ありがとう。」

(ベンがうちにくれたストラップ…
一度は返したけどもらってもいいかな?ベン…)

「佐奈、お前やっと自分の気持ちに気がついたんか?」

(えっ?!)

「ちょっと遅すぎたな。」

おじさんが佐奈にかけたキツイ言葉。