ガリ勉くんに愛の手を

「あ~、やっぱり大阪がええわ。東京とは空気が違うな。」

佐奈は長い時間電車にゆられてやっと大阪に帰ってきた。

東京と違って確かにガラは悪いが、聞きなれた大阪弁、たまに見かけるシマシマの虎模様のシャツ。

(これがうちの故郷や!)

ここに来ればいやな事も全部忘れさせてくれる。

そう信じてがんばろう。

(まずは家探しやな。)

東京へ行く時に何かと貯金を使ってしまいわずかなお金しか残っていない。

「そうや、あのアパートもう誰か入ったかな?」

以前住んでいたアパートに電話してみる事にした。

「はい、そうなんです。
え?まだ空いてますか?
良かった~、じゃまた今日からよろしくお願いします。」

(よし、これで寝るところは確保できたな。

あとは職探しや。

老人ホームも無理言うて辞めたし、どっか他の仕事探さんと…)

[ミナミ]で働きたいけど、知ってる人だらけですぐにおじさんにバレてしまう。

(とりあえずアパートに帰って今日一日ゆっくりと考えよう。)

そして明日から本格的に仕事探しをがんばる事にした。

佐奈はおじさんのいる【たこ萬】に帰るつもりはない。

いや帰れないんだ。

あんな形で出てきた事をずっと後悔していたから。

それから何日かしてアルバイトも見つかり佐奈の再出発はスムーズにスタートした。