ガリ勉くんに愛の手を

いつかもう一度、佐奈に振り向いてもらえる日が来るかも知れない。

そんなかすかな期待を抱き、東京行きを決意した。

これからどうなるか自分でもわからない。

ただ、一度だけ自分を試したくなったんだ。

(東京に行けば佐奈さんに会えるかな?
会いたいな…)

窓に映る風景が段々と変わって行く。

そこに佐奈の姿を映しながら思い出にひたっていた。

「勉君、何を考えているの?もしかして彼女の事?」

「あ、いや…」

顔が自然に赤くなった。

「本当に素直ね。あなたのその純粋なところが私は気に入っているの。
がんばりましょうね。
彼女のためにも。」

彼女ではないが結果的に佐奈のためなんだ。

(佐奈さん、僕はあなたに認めてもらえる立派な男になりたい。
その為にがんばります。)

次に会う時は必ず男として認めてもらう。

懐かしい駅。

「さあ、着いたわよ。
行きましょうか?」

僕が生まれ育った場所。
大都会、東京。

僕たちの新たなる挑戦が今始まろうとしている。