ガリ勉くんに愛の手を

満男はだいぶ並んでやっと、たこ焼き2皿を買って席に戻ってきた。

「おまたせ~
いや、今日はめちゃ混んでて、時間かかってしもたわ。」

満男が戻ってきた事も気づかず、さっきの女の姿を目で追いかけていた。

「なあ~勉、どないしたん?何かあったん?」

我に返って、満男の耳元でつぶやく。

「あ、あの…あそこで飲み物を運んでいる女の人、あの人を知っていますか?」

満男は僕の目線の先に立っている女を見つけた。

「あ~、ここで働いているあの子やな。
確か俺らより2つぐらい年上やったと思うで。」

「僕、ママに教えてもらったんですが、あの格好は[ギャル]って言うんですよね。」

「[ギャル?!]…
 はっはっはぁ~
 
勉の口から[ギャル]って言葉が出るとはな!」

たまらず噴き出した。

「僕、何か変な事を言いました?」

「別に。
そやな、顔を真っ黒に塗りつぶしてまるで土人みたいな化粧してるやろ。

あれを[ガングロ]って言うんや。」

「[ガングロ]
   ですか…?」

僕の頭は混乱している。

(これは、覚えておく必要があるな。)

カバンの中からメモ帳を取り出す。

いつものように満男に教えてもらった単語をそのメモ帳に細かく記入する。