タクシーで約20分、目的地についた。

降りてみてビックリ。

(う、うわぁ~、すごい高層ビル!)

佐奈は田舎者みたいにビルのてっぺんを見上げた。

「さぁ、入りましょうか?」

「ちょ、ちょっと待って。
こんな高級な店に来るとは思ってなかったから
うちこんな格好やし…」

普段着の自分が急に恥ずかしくなってきた。

「別にいいじゃないですか。私たちだけですし。」

「まぁ、そうやけど…」

佐奈は気乗りしないまま、まりに連れられてビルの中へと入って行った。

最上階にある高級レストラン。

(やっぱり、この服じゃマズイよな?)

まりはそれなりにオシャレをしてきている。

(こうなったら開き直るしかないわ。)

佐奈も根性を決め、堂々と入る事にした。

「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」

蝶ネクタイをしたボーイさんが出迎えてくれた。

(うち…変に思われてないかな?)

佐奈の心配をよそにそのボーイさんはごく普通に案内してくれた。

ホッとする佐奈。

まりは席に着くまできょろきょろと店内を見回している。

「どうしたん?さっきから。
誰か知り合いでも探してる?」

(ゲッ、ヤバい。)

「う、ううん。違うの。
やっぱり、有名なレストランはセレブが多いな~と思って…」

「まぁ、そう言われてみればそうやね。」

まりはうまくその場をごまかした。