~佐奈の気持ち⑥~

翌日。

うちは、まりを連れて朝から大型スーパーであらゆる食材を買いあさった。

今日は、健二が家に来る日。

仕事が忙しくてなかなか一緒にごはんを食べる時間もないし。

大量の食糧を買ってマンションへ…

ここからはうち一人で十分。

まりをさっさと追いだして仕込みにかかる。

夕方の5時。

準備はすべて整った。

(あとは健二が来るのを待つだけやな。)

♪ターンタータタン…♪
携帯の着信音。

「もしもし。」

「佐奈、あと1時間ぐらいで行くから。」

「うん、わかった。もう準備万端やからいつ来てもええよ。」

「そうか、楽しみやな。
ああ、それと…」

健二の言葉が一瞬とぎれた。

「今日は、そっち泊まって行くから。」

(え?)

ガチャンッ、ツーツーツー

それを意味するのは…?

今日、健二と二人きり。

次第に胸の音が激しく波打つ。

(きょ、今日うちら…)

もう料理の事なんてどうでもいい。

ただ、夜が来るのが少し怖い。