佐奈は何も言わず、ただ健二についてきた。

(どこへ?)

人気の少ない路地…

「やっと、二人でゆっくりしゃべれるわ。」

(なんで、うち…
ついて来たんやろう?)

佐奈自身戸惑っている。

「佐奈、ここ覚えてるか?」

「え?…あ、うん。」

「昔、ようここで悪さしたよな。」

「そうやったっけ?」

「お前は、まだ15歳、俺は17歳…
懐かしいわ~。

ここでお前と初めてキスもしたっけ。」

(健二…
今さら、そんな話なんでするん?)

もう遠い昔の思い出…
とっくに忘れた。

(いや、忘れるはずはない。
うちが初めて好きになった人やもん。

その人と初めてのキスをした場所……