おじさんと健二、佐奈の3人は昔話に花を咲かせていた。

「健二がデビューしたての頃は俺がよう面倒みてやったよな。」

「何言うてるん?
おっちゃんの尻ぬぐい俺が何回してあげたか?」

「なんやとーっ!」

「二人とも、久し振りに会ってまた喧嘩?」

「冗談やって。
おっちゃんとはいつもこんな会話やからな!」

「ハッハッハ…!」

(本当に仲がいいんだ…)

僕の知らない世界で3人はつながっている。

その姿がとても羨ましかった。

さっきから気になっていたんだが、健二がチラチラと佐奈に熱い視線を送っている気がした。

「佐奈、
お前きれいなったな。」

「え?」

佐奈の顔がうっすらピンク色に染まった。

「もしかして…
好きなヤツいてる?」

一瞬、黙りこんだが、

「もう冗談言わんといて。
うちそんな人いてないし。」

きっぱり否定した。

「ホンマか?」

「ホンマや。」

「って事は、まだ俺にも望みあるって事?」

(…健二?)

(な、なんの話?
好きとか、望みとか…)

僕は、二人の会話に入れないのが悔しくてたまらない。

「おう健二、悪い冗談言うたらあかんで。」

おじさん、僕に気を使ったのかその会話を冗談でかわした。

「佐奈、ちょっと出へんか?」

「え?どこへ…」

「おっちゃん、佐奈借りるわ。」

佐奈の返事も聞かず、腕をグイっと引っ張って店を出て行った。

「お、おい、健二!」

(相変わらず強引ヤツやな。
佐奈、大丈夫かな?)

僕の我慢はもう限界だ。

「お、お、お
おっちゃん!!」