そんな事とは知らず、佐奈が数分後、店に戻ってきた。

「ただいま~
おっちゃん、今日はタコがめちゃ安かったで。」

いつもと変わらないはずの店内に…

「よう、佐奈。久し振りやな。」

(その声は…?)

カウンターに座っていた男が後ろを振り向き、立ち上がった。

「け、健二?」

佐奈は、幻でも見ているように健二の顔を見つめた。

今まで見た事のない佐奈の顔。

じっと、真っ直ぐ健二だけを見つめている。

2年ぶりの再会。

僕はこの時、2年前、この二人の間に何があったのか?

そして、これから何が起ころうとしているのか…

何も知らず、ただ得体の知れない不安に心をかき乱されていた。