誰もいない一人部屋。

何をしようと僕の勝手だ。

急に体がムズムズしてきた。

これが男の本能なのか?

思わず、カバンの中に入っている雑誌を取り出した。

途中まで読んでいた漫画の続きが気になって…

机の上に広げて読み始める。

どこから見ても普段と変わらず真剣な顔。

勉強に打ち込んでいるように見えるだろう。



【純愛物語】

― 放課後、優等生のジュンとしおりは誰もいない図書室でクラス会の資料を作っていた。

ジュンはずっと前からしおりが好きだった。

大好きなしおりが目の前にいる。

その真剣な表情はとてもまぶしい。

真白い肌、艶っぽい黒髪、ほっそりとした首筋、ふっくらとした唇。

ジュンはもう我慢の限界だった。

「しおり…さん」

「え?」

ジュンはしおりの目の前に立ってこう言った。

「ずっとあなたが好きでした。」

そして、しおりも立ち上がった。

「ジュンくん、私も…」

二人の気持ちが通い合えた瞬間。

ジュンは思わず、しおりの肩を優しくつかんで少しずつ体を引き寄せた。

しおりも抵抗しなかった。

やがて、窓から夕日が差し込み二人の頬を真っ赤に照らした。

磁石が引き寄せ合うように、二人の唇が自然に重なり合う。

初めてのキス。

いつも近くで話をしているのに口と口が触れるってどんな感じだろう。

ジュンはいつも想像していた。

ふわふわした感触。ほのかに甘い香り。

ジュンとしおりの鼓動はバクバクと高鳴っていく。