「ベン、1度の失敗ぐらいで諦めるな!」

「でも…
佐奈さん、相当怒ってましたよ。」

「大丈夫や。佐奈はいつもあんなしゃべり方しか出けへんねん。
本心は、喜んでるよ。」

「本当ですか?!」

「おう。」

またまたおじさんにうまく乗せられているような気がした。

「続きまして~
失敗した時の為に考えた作戦を…」

「まだあるの?!」

名付けて…

―デート作戦―

「佐奈の機嫌が直ったところで映画に誘う。」

「映画ですか?」

「そうや。
デートに誘うんや。」

「デート…」

その言葉を聞くだけで胸がドキドキしてきた。

僕が今頼れるのはおじさんだけだ。

たとえ、おじさんのアドバイスが間違っていたとしてもついて行くしかない。

「この映画は切ないラブ・ストーリーや。」

「…なるほど。」

「映画のラストシーンで主人公たちが抱き合う。
その場面で佐奈の手をギュっと握る。」

「えっ?!手を握る?」

「そう。手を握って一番盛り上がったところで…

「佐奈さん、僕と付き合って下さい。」

…と、告白する。」

(本当にうまくいくのかな…)

「大丈夫。女はラブシーンになると自分が主人公になった気分になるからそこを狙うんや。」

(なんか騙しみたい…)

最初からうまく行くとは思ってはいないが…

でも、いつか僕の思いを受け入れてくれる日がくる。

そう信じて頑張ろう…