― 翌日

「じゃ、行ってきます。」

「かんばれよ~!」

最近[ミナミ]にもすっかり慣れてきた。

どこにどんな店があるのか、だいたいはわかっている。

(えーと、ジュエリーショップ?
ファンシーショップ…)

ウロウロしていると1軒のかわいい店を見つけた。

中に入ると女性客ばかり。

(ちょっと恥ずかしい…)

僕は、手早く決める為、お店の子に頼む事にした。

「あの~、ちょっといいですか?」

「いらっしゃいませ。
何かお探しですか?」

「はい、実は…
女性にプレゼントしたいんですが…

何がいいのかよくわからなくて…」

「私でよければお探ししますよ。」

「お願いします!」

お店の子はテキパキと何点かの商品を選んでくれた。

「これなんか、いかがですか?」

(ネックレス、それと香水。)

おじさんが言っていた通りのモノだ。

「ハート型がとってもかわいくて、一番人気なんですよ。」

(そうなんだ~
確かにかわいい…)

その時ふと、おじさんの言ってた言葉を思い出した。

「佐奈には、ちょっと変わったモノがいい。」

(んん…)

僕はじっと考えた。

変わったモノ…
変わったモノ…



…変なモノ、
…変なモノだ。


「あの~ちょっと、変なモノありますか?」

「はぁ?」

店員が首をかしげる。

いつの間にか、僕の頭の中で[変わったモノ]が[変なモノ]にすり替わっていた。

結局、お店の子にいやがられて買わずに出てきた。

(そんなモノ売ってる訳…ないか。)

店員さんは、帰り際に別のお店を紹介してくれた。

親切な人だ。

「次の信号を左に曲がって…」

(あっ、あそこだ。)

そのお店は、繁華街から少し離れたあまり目立たない場所にあった。

(ここか…。)

見るからに変なモノが置いてそうな店だ。