母は彼女たちを見送った後、泣きながら僕にこう言った。

「どうして?!勉。

ママはあなたがこんな事するなんて信じられない。
あれは事故よね?」


「ママ、僕……
本当に何もしていないんだ。
駅を下りたらいきなり手をつかまれて…」


「わかっているわ。ママもあなたを信じている。
…でも良かった。

警察に連れて行かれてたらパパまで大変な事になっていたわ。」


お金で解決が出来た事にほっとする母。

僕はそんな母に感謝したが、反面寂しく思った。


(ママ、どうしてあの子にお金を渡したの?
それって僕がやったって認めた事だよね……)


母に直接言えなかった。

この事は僕たちだけの秘密にする事にした。