結局、僕たちが一緒に謝って[変なおじさん]の汚名は晴れた。

僕は落ち込んでいるおじさんを送ってあげる事にした。

「ベン、すまんな~
迷惑かけて…」

「本当にビックリしましたよ。」

申し訳なさそうに頭をかくおじさん。

「でもどうしたんですか?
こんなとこまで…
お店は?」

おじさんが急に真面目な顔をした。

「店の事はどうでもええねん。
問題はお前ら二人の事や!」

(僕たち二人?)

「買出しに行った日、何があったんや?
あれ以来、佐奈は全然しゃべれへんし、ベンは店に顔出せへんし…」

(おっちゃん…)

僕たちの事を心配して?


―近くの公園で

僕はあの日あったすべての事をおじさんに話した。

「えーっ?!お前の親父さんが不倫?」

「しっ!そんなに大声出さないでくださいよ。」

「すまん、すまん。」

「ほんで佐奈と二人で尾行してホテルまで行ったんやな。」

今まで真剣そのものだったおじさんの顔が急にゆるんできた。

そこからおじさん得意の妄想が広がって行く。

(と言う事は、佐奈とベンもそのラブホテルに入ったって事?)

ますます顔つきがいやらしくなってきた。

「ベン。お前やるな~
ムフフッ…」

(な、何?その気持ち悪い笑みは…?!)

背中から急に寒気がした。