「そんな…
僕だって一生懸命頑張って来たのにあんまりです。」

「一生懸命?
商売ってもんは、気持ちだけではどないしょうもないねん。

あんたみたいにどん臭いヤツ雇ってたら、店がつぶれるてしまう。迷惑やってわからんの?

もう、うんざりや。」

「佐奈…さん。」

それは本心?

「もう【たこ萬】には二度と来やんといて!」

そう言うと、佐奈は僕の顔を見ずに一人走りだした。

「さ、佐奈さん!!」

追いかける事ができなかった。

(やっぱり僕は、ただの足手まといだって事……)

佐奈の言い残した言葉が僕の背中に重くのしかかってきた。