いつもより大幅に遅れた閉店。

結局、今日はイケメンは現れる事はなかったと、がっかりしながら女の子たちが帰って行った。

僕、佐奈、そしておじさん。

3人ともなだれのように空いたテーブルにバタンと倒れ込んだ。

「ひゃ~、こんな忙しかったのは、この店の開店以来違うか~」

久しぶりのおじさんのうれしい悲鳴。

「もう、うちクタクタやわ。おっちゃん、バイト料アップやで~」

僕は一人口数が少ない。

「ベン、大丈夫か?」

おじさんが心配そうに声をかけてくれる。

「は、はい…これぐらい…
 何ともないですよ。」

ハエが飛ぶほどの声しか出てこなかった。