店を出たものの、方向どころか、電柱にもぶつかりそうになる。

その内、信号が赤だと気付かず、車にひかれてしまうかも知れない。

自分がどこをどう歩いているかもわからない。

僕は立ち止った。

(もう、どこでも誰でもチラシを配るぞ。)

こうなったら、やけくそだ!

とりあえず、チラシを出して前を横切るボヤけた人影に差し出す。

「【たこ萬】のチラシです。安くておいしいですよ。
どうぞ、よろしく。」