真理亜の一言で男の態度がいっぺんに豹変した。

「さっきから黙って聞いてたら、都合のええことばっかり言いやがって。」

(いつもの達也じゃない。)

「な、何よ、開き直る気?!」

真理亜も一瞬、言葉をつまらせた。

「金返せやと?お前が主犯格やろ?!俺よりお前の方が罪重たいんやで。」

「わ、私は何もしていないわ。第一…証拠がないし……」

男がニヤリ笑いを浮かべてテーブルの上に何かを置いて見せた。

(カセットテープ?)

男がテープを再生する。

…「あの【たこ萬】で働いている佐奈って女、この写真の女よ。

この女をレイプして欲しいの」

「え?それヤバくない?」

――――――

「ね、お願い。バイト料はたっぷり払うから。」

カチャッ。
男が途中でテープを切った。

(あ、あの時の会話……)

真理亜の顔から血の気が一気に引いた。

(はめられた。)

「わかったか?世間知らずのお嬢さん。
大人をなめるとひどい目にあうんやで。」

真理亜はこの時、自分が男より弱い立場に立たされている事に気づいた。

だが、時すでに遅し。