「足を切った・・・。」
「そうなの!前野さんあってるよ。で倒れたところを引きずって母さんの隣に置いてあげたの。母さんを間近に見て動かなくなっちゃった。」
ゼンマイ仕掛けの人形は止まることを知らないようだ。
「それで、明香ちゃんはどうしたんだい。」
「頭切ってみたの。チョッキン。したら血いっぱいなの。スカートにいっぱいかかったの。だから怒って一発叩いたのよ!でねでね、ねぇ前野さん聞いてる?」
瞳を向けないものの前野に問いかける少女。少女も少しおかしなところがある。前野は無言でうなずく。少女に見えているかは分からないが。
「うふふ・・・。お腹の中きれいだといいなって思ったの。包丁で切って中見てみたの!もういやよ。何も変わらないの。気持ち悪いわ。気持ち悪いの。前野さん見たことある?」
「ないよ。」
デスクの下でせわしなく動く手。リズムを刻んでいるようにも見えた。前野はギリギリと鳴る胃と対抗しなが目の前のおかしな瞳をした少女を見つめた。
「もういやになんちゃうの。だから腹いせに母さんの首も切ってみたのよ。母さんあまり血でなかった・・・。髪は女の命って母さんが言うからね。母さんの髪を梳いてあげたの。」
笑っているのにどこかおかしな口元。
「母さん『ありがとう』も何も言わないの。ひどいわっ!だからね、父さんの骨を粉々に折ってやった。そしたら母さん泣くと思ったの。でもね、赤い血流すだけで涙流さないの。ひどいわ。私のがんばりを無視するなんて。私母さんのこときらい。母さんなんて・・・。」
(さっきの朱鳥くんも永遠子さんを嫌っていた・・・。やはり、永遠子さんのあれか・・・。)