「・・・。ふむ・・・・・・。」
「あすかは、しんだ、ちち、と、はは、を見てにげました。あすかは、ぜんしん、うごけません。だから朱鳥くんににげてもらいました。あすかはしずかなのがにげてです。だから明香ちゃんにしずかになってもらいました。ちち、のことばで明香ちゃんうごけません。でも、て、がうごきます。しあわせです。はは、のことばで朱鳥くんはうごけません。でも、あし、がうごきます。しあわせです。あすかは、て、も、あし、もうごきません。でもふたりがいるからしあわせです。あすかはふたりといっしょならしあわせです。」
最後の言葉のように響く言葉。幸せように笑う少女。
「あすかちゃん。君は本当に幸せかい?」
「しあわせです。」
「親を殺して、こうして拘束されてずっと話を聞かれていてもかい?」
「はい。しあわせです。あすかにとって、おや、でもなんでもない、あいて、をころしただけです。あすかはふたりがいればしあわせです。あすかはしあわせです。」
前野は息を重く吐き捨てた。目の前の小さな少女の幸せの在り方。ずれた幸せ。それでも少女は幸せという。みんなと違う幸せでも、少女にとっての幸せ。
(・・・・・・。)
「ありがとうあすかちゃん。今日はこれで終わりだよ。できたら、」
そこで前野は言葉を切った。そして唾を飲み込む。
「残りの二人が今幸せなのか聞きたい。できたらでいいから少し変わってくれないか?」
「・・・。」
押し黙る少女。瞳があらゆる方向に動く。
「あすかは、しんだ、ちち、と、はは、を見てにげました。あすかは、ぜんしん、うごけません。だから朱鳥くんににげてもらいました。あすかはしずかなのがにげてです。だから明香ちゃんにしずかになってもらいました。ちち、のことばで明香ちゃんうごけません。でも、て、がうごきます。しあわせです。はは、のことばで朱鳥くんはうごけません。でも、あし、がうごきます。しあわせです。あすかは、て、も、あし、もうごきません。でもふたりがいるからしあわせです。あすかはふたりといっしょならしあわせです。」
最後の言葉のように響く言葉。幸せように笑う少女。
「あすかちゃん。君は本当に幸せかい?」
「しあわせです。」
「親を殺して、こうして拘束されてずっと話を聞かれていてもかい?」
「はい。しあわせです。あすかにとって、おや、でもなんでもない、あいて、をころしただけです。あすかはふたりがいればしあわせです。あすかはしあわせです。」
前野は息を重く吐き捨てた。目の前の小さな少女の幸せの在り方。ずれた幸せ。それでも少女は幸せという。みんなと違う幸せでも、少女にとっての幸せ。
(・・・・・・。)
「ありがとうあすかちゃん。今日はこれで終わりだよ。できたら、」
そこで前野は言葉を切った。そして唾を飲み込む。
「残りの二人が今幸せなのか聞きたい。できたらでいいから少し変わってくれないか?」
「・・・。」
押し黙る少女。瞳があらゆる方向に動く。

