「オレ蹴るの好きなんだ!男のあいつ死んでた!臓物がよ。ドクッドクッて唸ってるんだぜ?いやだから、女のあいつみたいにねじり潰してやった!気持ち悪いぐらいにネチネチしてんの。奈島の腹ん中もネチネチしてんの?」
(朱鳥くんか・・・。明香ちゃんと朱鳥くんの二重人格・・・。)
「俺の中?見たことないからわからないな。朱鳥くんは自分の中身を見てみたいかい?」
「見てみたいなっ!きっときれいだぜ?赤くてさネチネチなんてしないんだよ。あぁ・・・。中見てみたいな。なぁ、はさみねぇの?はさみ!オレの中見てみてくれよ?なぁ。」
自然と足の床を叩く音が強くなる。前野は朱鳥が苦手だ。目の前の少年はいきなり笑っていきなり怒る。怒られると困るんだ。前野はまた始まる頭痛に頭を押さえた。ここは奈島に任せてしまいたい。でも、奈島も滝も前野も何も言えないでいた。
「まぁいいや・・・・・・。でさ、オレさいいボール見つけたんだ。んで蹴った。でも返ってこないからもう一個のほうで蹴ってみた。これが面白いほどに返ってくるんだ。でも途中で使いものにならなくなったから思いっきり蹴って外に出した。あの時の音幸せ。」
幸せ声で話す少年。奈島は落ち着き払って椅子に座った。庭に転がっていた頭部がフラッシュバックする。奈島の態度に拗ねたように少年は口をとがらせた。
「オレ、もういい・・・。」
ぼそっと小さくつぶやくと、