聖夜Side

こんな夜はやっぱり女に限るぜ。
毎晩、腐るほどに女で遊んでいても飽きない。
女は貢いでくれる。
そのためだけに存在する生き物。

「今夜も指名してくれてありがとな」
いつものように席にすわり酒をつくると女は
「今夜も指名したんだからいくわよね?」
女はさも当たり前のように俺にくっついてくる。
キモい…。
「マダム…今日は寝かせないぜ…」
「やったー☆」
なんて言うけどいつものようにここに居座らせて飲ませて帰らせるだけ。
お前みたいな婆と誰が好き好んどホテルに行くかよ。

こんな生活になったのは3年前。
中学を卒業した時期だ。

松田聖夜(18)
知り合いのつてでホストの業界にはいり、歳を偽ってNo.1になった。

中学の時俺は愛していた女がいた。
大好きで…
結婚まで考えていた。
しかし、そんなんは所詮中学生の考えだ。
女は浮気し他の男の子供を妊娠した。
それがわかる前からなんとなくは感づいていた。
でも、好きだから別れたくはなかった。
卒業間近になり女から
他の男との子供ができたから
別れてほしい
それだけ言われた。

身勝手な女なんてもうたくさんだ。
世界には俺を好きなんていう女もいるところまでのぼりつめた。

そんな俺がホストになった。

暗い過去なんかなかったことにするホストという道で俺はいきていく。

金も女もほしいものはすべて手に入る。

つまらない世の中。

やることやったら金はでてくる。
街中で声をかければ女はついてくる。

「つまんね…」
声をはっした先には女がぽつんとフェンス越しに立っている。
「まさか自殺?」
そんなわけがない。

俺は体が勝手に動いていた。
そして彼女の腕をひっぱっていた。

彼女は俺のほうを振り向いた。
顔には涙のあと。
そして赤い目。

「どーしたの?」
「別になんでもないです。キャッチかなんかですか?」
見るからに中学生ぽい女は俺を見るなり嫌みたらしく顔を背けた。

「てめー、年上にむかって」
「誰が話し掛けてっていったのよ」

女は負けじと俺を睨む仕草をとった。
女にがんをとばされたのなんて中学の時の彼女いらいだ。
きっとどこか被ったから声をかけたのであろう。