「美月ちゃん、アパート着いたよ」


悠斗の車の中でいつの間にか美月は眠っていた。


「……どうした?怖い夢でも見た?」


美月の頬を濡らしていた涙を指でそっと拭いながら悠斗は優しく微笑んだ。


「……そう、だったかも。送ってくれてありがとうございました」


美月は悠斗から視線を逸らしお礼を告げると、避けるように車から降りた。

そして車のドアを閉めると一礼して、アパートの階段を駆け上った。