無料で飲食できるチケットが1枚余っていて、捨てるのは勿体無いから予定無いなら来て、と半ば無理矢理菜緒子に引き連れられてきた美月は、着いたその場で帰りたいと思っていた。

予約席に案内された先にいたのは、男女に分かれてテーブルに座っている男4人と女2人。

騙されたことに気付いたけれど、菜緒子の帰らないでねと有無を言わせない笑顔に帰ると言えず、そのまま黙って空いていた端のイスに座り今に至る。

周りで盛り上がっているのを横目に、美月は只々目の前にある料理に舌鼓を打っていた。


モダンなカフェ風の居酒屋で、お酒も料理もおいしいその店に、普通の友達との食事会だったらもっとおいしく感じただろうなと思いながら、話しかけられたら相槌を打つ程度で、ほとんど話しに加わろうとはぜずに、美月はひたすら食べることに専念していた。