2度目の恋は、やさしい蜜の味

「少し昔話をするわね。

私、大学入学してすぐくらいに藤沢に振り向いて欲しくて猛アタックしてたの。由美ちゃんともそのころ会ったことがあるわよね。でも、藤沢はどうやっても落とすことができなかった。

その後、ちょっと自棄になって、左の薬指に指輪をしてる人から声かけられて、そのまま付き合っちゃったのよね。ようするに不倫しちゃったの。
優しい甘い言葉をくれるその男性に私の方が離れられなくなっちゃってね。でも、奥さんがいるのになんてことしてるんだろうっていう罪悪感も強くて……

気持ちが押しつぶされそうになっているところを、剛志が助けてくれたの。

何やってるんですか――って私のこと本気で怒ってくれたのよね。底が見えない不安で押しつぶされそうだったところを剛志が引き上げてくれたの。それから彼の真摯な所とか優しい所とかとにかく彼のことを大好きになっちゃって。でも、私じゃまっすぐな彼とは不釣り合いだよなって恋する気持ちに蓋をしてたんだけど……

あのまっすぐさで、俺は香月先輩が側にいてくれたらそれだけで幸せです。だから俺を幸せにしてくださいって。え?私が幸せにする側なの?って思わずつっこんじゃったよ」


香月は当時を思い出しながらクスクス笑った。


「あら、やだ。アドバイスするつもりが惚気みたいになっちゃった」

「本当ですよ。でも、側にいてくれたらそれだけで幸せって素敵です。まさか、部長からそんな言葉が出てくるとは想像もつきませんでしたけど」

「本当ね。でも、こんな私でも人を幸せにできるのかなと思ったら、頑張ろうって気持ちになれたのよね」

「そして結婚まで辿り着いたと……」