葉子は真っ直ぐ俊を見つめる。

「…え?今?って…え?え?」

俊の頭は混乱して、うまく整理出来ない。

そんな俊を見て葉子はクスッと笑う。


 「あたしの好きな人の名前は…相楽俊」

はっきりとした声で告げる葉子に、俊は言葉を失う。


 思いっきり応援してしまった。

応援した気持ちに嘘は少しもないが、まさかその相手が自分だとは思わなかった。


 「今すぐつき合ってほしいの」

「…葉…」

「なんて言わないよ!」

「へっ?」


真面目な顔つきで言われて焦った俊だったが、突然笑顔になった葉子に目が点になってしまう。

まるで漫画のように肩がガクッと落ち、なんともマヌケな声を出してしまった。


「よ、葉子さん?」

「あたしが俊を好きなのはホントだよ?」

「う…」

あっけらかんと言われ、思わず俊が照れてしまう。


「でも、今すぐつき合ってなんて言わないわよ。俊が奈緒のことどれほど好きだったか知ってるしね」

「…うん」

「けど、可能性が0なわけじゃないよね?さっきべた褒めしてくれたわけだし?」

「え、う、あ…」

小悪魔風な葉子の微笑みにしどろもどろな俊。