「…フラれちゃったね」

「!?」


突然背後から声をかけられ、俊は驚いて振り返る。

木の陰から顔を出したのは葉子だった。


「…ごめん、見るつもりはなかったんだけど…奈緒探しに来たら、まさか俊と一緒とは思わなくて…」

「なんだ葉子か…驚かせんなよ…」

俊はふーっと息を吐き出す。

「や、驚かすつもりもなかったんだけどね」

そんな俊に苦笑いする葉子。


「…でも、葉子なら全然いいよ。どうせ言わなくても気づいてただろうし」

「まぁ、ね…」

安心しきった俊はその場に座り込む。



 「…次にフラれるのは、あたしかも」

「え?」

俊はまた驚いて葉子の顔を見る。


 「葉子、好きな奴いるのか!?」

「うん…でもその人には、好きな子がいるんだ」

「え…っなんかオレと似てるな…」

今度は俊が苦笑いした。


 「でも、葉子ならきっと大丈夫だって!美人で頭もいいしスポーツも出来るし、葉子ほどの女に好かれて喜ばない男はいねーだろ!」

「…ホント?」

「おう!オレが保証する!!」

「……」

「葉子?」


 「…その人ね、今フラれたの」

「え…」