まどかが去った後、奈緒たちも喫茶店を出た。

空は薄暗く、時刻はすでに19時を回っていた。

隼人の寮の門限は21時。

奈緒の親は共働きなので、22時までに帰れば平気だった。


 なにより話をしたかったので、2人は小さな公園に入った。


 「ここ、久しぶりだね」

「そうだな」

その公園は奈緒と隼人が出会った公園でもあり、よく遊んだ場所でもあった。


 「オレは静かに読書してたのに、奈緒が強引に砂場に引きずり込んでよ…」

「だ、だって、小1の子供が真昼間から公園で読書なんてもったいないじゃない!」

「ま、そのおかげで仲良くなったんだけどな」

「そ、そーよ…」


 妙な緊張感に包まれ、奈緒は居た堪れなくなってとりあえずブランコのイスに座った。

隼人もそれに続き、隣のブランコに座る。


 「…さっき、まどかが言ったこと、全部、ホントだから」

隼人が途切れ途切れに口を開く。

「……」

奈緒は恥ずかしくて何も言えず、ただ顔を赤くする。

「…おい、なんか言えよ」

「…ホ、ホントにホントなの?」

隼人は首を縦に振った。

辺りは暗くなっていたが、公園の電灯が隼人の赤くなった顔を照らしていた。