思い出の、あの場所で。






 「…ごめん、混乱してた…。今まで通り中学でも、一緒だと思ってたから…」

なんとか落ち着きを取り戻した奈緒は、ぽつりぽつりと話す。


「…オレも、黙ってて悪かった。なんでだろーな、なんか…奈緒にだけは、すげー言いづらかった」


 そう言って、ハハッと乾いた笑いを漏らした隼人に、奈緒はドキッとしてしまった。
顔が熱くなっていくのがわかる。

ケンカ友達と言っても、二人きりだとケンカにならない。
とても新鮮な気分だった。


「………」

「また、会えるって」

 隼人が奈緒の頭をポンッと触る。

隼人と奈緒は2㎝しか身長差がないので、少し無理がある体勢なのに、隼人だと無理がなく見える。

いつもとは違う隼人の優しい笑顔に、奈緒は思わず恥ずかしくなって俯いてしまう。


「…また、会える…?」

「ああ、また会える。永久に離れるわけじゃないんだから。な?」


奈緒の頭を撫でたまま、隼人は奈緒の顔を覗き込む。

「…バカ隼人」

「バカで結構」

名残惜しそうに頭から手を離すと、隼人は歩き出した。

「ほら帰るぞ、置いてっていーのか」

「…うっさい!今行くよ!」

素直じゃない奈緒に、隼人は軽く笑った。