「すみません、カフェオレ2つ!」

学校から5分ほど離れた小さな喫茶店。

ここは奈緒が小学生の頃から行きつけの店だった。

隼人や女友達と来ては長時間居座っていたため、マスターとは顔なじみなのだ。


 「あの…本当にいいの?」

「いーのいーの!まかせといて!」

「はあ…」

まかせるって何を?と思いながら、まどかは頷いた。


 「そんで…話って何…?」

「あ、うん…隼人のことなんだけど…」


 奈緒は明るく振舞っていたものの、気になって仕方なかった。

まどかがわざわざ自分を訪ねてくるなんて、隼人のことしかないだろう。


 何を言われるだろう。

もしも“隼人に近づくな”とか言われたら、二度と立ち直れないかもしれない。


 「あー隼人ねぇ、元気でやってる?2人ラブラブだもんねぇ」

何かを言われる前に、自分から明るく切り出す。



 「…隼人と、別れたの」