それでも好きだから、気にしないようにしていた。


 だけど、再会してしまったから。


 バスケ部の試合の時、隼人が女の子を追いかける姿を見た。

試合終了のブザーが鳴った瞬間、令をするのを無視して、走っていた。

隼人のあんな必死な顔を見たのは初めてだった。


 しばらくして戻ってきたけど、令を無視したことを部長に怒られていた。

それなのに隼人は、全然沈んだ様子を見せていなかった。

その後で、知り合いが助け船を出してくれたからお礼を言いに行っていたと、話してくれた。


 いつも冷静で落ち着いてて、どこか儚さを漂わせていた隼人。

まどかが見ていた隼人はそんな人だった。


 けれどその日から、隼人は笑顔を見せることが多くなった。

周りの男子と一緒になって遊ぶことも増えた。


 そんな隼人も大好きだった。

変わらず優しいし、まどかのことを大切に扱ってくれていた。


 でも、その元気の源は、私じゃないでしょう?


無意識なんだと思う。

それでもまどかは、隼人の笑顔を見るたび、心の中で問いかけていた。





 自分を笑顔にしてくれた隼人。


その隼人が心から笑えないなんて、そんなのひどすぎる。



 だから、手を離すよ。


そして彼女の手をとって、笑ってね。