その教室での出会いで、まどかはすでに隼人に惹かれていた。

綺麗な漆黒の黒髪に伏し目がちのつり目。
少し大人びたしぐさ。

男子はもっと落ち着きのない生き物だと思っていたし、実際他の男子は隼人よりは落ち着きがなかった。

進学校であることから、バカ騒ぎするような者はいなかったけど、それでも隼人は一際落ち着いた男子だった。


 そしてそのあと体育館で偶然会った。

バスケ部の入部希望を出すために、隼人は選手、まどかはマネージャーとして。


 そんな縁もあって、二人はすぐ仲良くなった。

まどかは隼人を知れば知るほど惹かれていき、出会って2週間もしないうちに好きになり、告白した。


 初恋だし、普通はもっと時間を置いてからするものだと知ったのはそのあとだった。

自分は人並み以上に度胸があるんだということに気づいた。


 告白して、受け入れてもらえて嬉しかった。

だけど、すぐに気がついてしまった。


 隼人は、まどかのことが好きで受け入れたわけじゃない。

誰も代わりになれない、大切な人がいるんだと。



 出会ってから短いけど、それでも、ずっと見ていたから。

気づかなくていいことに、気づいてしまった。




 それから間もなく、隼人から奈緒のことを聞いた。

隼人はただの腐れ縁だと話していたけど、まどかは確信した。


 隼人が想っているのは、その人だと。