「…あ、隼人?ごめんね急に。これを最後に、番号消すから、隼人も私の番号消してね」


 まどかは、その可憐な容姿に似合わず、冷静に言った。

「え?なんでって…当然じゃない。昨日散々話したでしょ…納得した?それで私、今から奈緒さんに会いに行くね。じゃ」

一方的に言い放って電話を切った。

隼人はまだ何かを言っていたが、無視した。


そして、“高瀬隼人”と表示されたページを消去した。

「…よし」

そのままケータイの電源を切り、カバンにしまう。

「…これで、いいんだよね」


小さく独り言を呟き、目を閉じる。


まどかは思い出していた。


今までの、隼人との日々を。