思い出の、あの場所で。






 「ねえ、奈緒と俊、何かあった?」

休み時間、考えていた奈緒の隣に、どこかへ行っていた葉子が戻ってきていた。

「え!?何急に…」


 正直、葉子がそろそろ気づいてもおかしくないと思っていた。

3人で行動するのは変わってないし、普通に話もする。

奈緒は焦ってしまって会話にならないから、自分からはあまり話しかけないけど、俊は変わらず笑って話しかけてくれる。

奈緒もそれには頑張って応えている。

だから表面的には変わっていない。

周りは気づかないだろう。


 だけど一緒にいる葉子は違う。
 
もともと葉子は人の気持ちに敏感な方だし、勘が鋭い。

多分今まで言わなかっただけで気づいていたと思う。

でもその期間が長いから、俊が男子と遊びに行っているのを見計らって、ついに言ってきたのだろう。


 「急にも何も、あたしから見たらあんたたち変だよ?」

「そ、そうかな…」

「奈緒はなんか遠慮がちだし、全然話しかけないし。俊は俊で、上辺だけの笑顔って感じだし」

「………」


 やっぱり葉子は鋭い。

なかなか気づかない些細な変化でも、気づいてしまう。

「…言わないってことは、聞かない方がいいことなの?だったら無理には聞かないけど…」


葉子は整った綺麗な顔を曇らせ、心配そうに奈緒を見る。

そんな顔を見ると、奈緒はなんだか自分が悪いことをしている気になった。