思い出の、あの場所で。






 「うわっ奈緒!驚かせんなよ!まだいたのか」

驚く隼人に構わず、奈緒は呆然としたまま、目を隼人に向ける。


「…他の学校に、行っちゃうの?」


奈緒の問いに隼人は一瞬戸惑い、小さく息を吐いた。

「…話、聞いてたのか」

「なんで!?寮なんて高校生でも遅くないじゃん!!」

冷静に認めたも同然の隼人に、奈緒は苛立ちを覚えた。

「英語だって、これから本格的に習うんだし…!バスケだって、隼人はすでに十分うまいじゃん!!中学生のお兄さんに勝つんだしさ…っ」

怒っているのか、悲しいのか、わからないまま奈緒は隼人に感情をぶつけた。


「…話、聞いてたんならわかってると思うけど、オレの希望が全部揃ってるんだ。せっかく見つけたのに、逃せられない…」


「…っ!」

隼人の言葉に奈緒はハッと我に返った。

こんなに取り乱したのは初めてだった。


なんなのだろう、この気持ちは。