思い出の、あの場所で。






 俊の告白を思い出す。

確かに俊といれば、いつも笑顔でいられる気がする。

明るくて楽しくて、いつもはお調子者だけどいざって時は男らしい。


 奈緒は今まで俊を意識したことはなかったけど、告白されてから気づいたことがある。

俊は実は女の子にモテるということ。

奈緒と葉子といることが多かったけど、俊はクラスのムードメーカーでもあった。

男子ともふざけあいながら中心にいるし、女子からはペットみたいな扱いを受けながらも、頼りにされている。

体育の時とか、俊が活躍すると小さく黄色い声援があがる。

 見ていなかっただけで、俊は人気者だったのだ。


(告白されてから気づくなんて、あたしってバカだなぁ…)

俊はいつ彼女が出来てもおかしくない。

むしろいないことが不思議だと思う。

 でもそれは、奈緒が好きだからだ。

(なんであたしなんかを…)


 迷っている奈緒に気づいているのか、俊は返事を催促してこない。

そういう些細な気遣いも俊の優しさ。

俊を選んだ方が、幸せなのかもしれない。

会えない人を、彼女がいる隼人を想い続けるより、いつもそばにいてくれて、笑顔にしてくれる俊を想う方が幸せだ。

わかっているのに、どうして答えが出せないんだろう。