小さく、だけど凛とした声が響いた。
「まどか」
バスケ部の試合の日に見た、可愛らしい女の子。
この子が彼女だということは確信に近かったけど、ついに決定打されてしまった。
「あっごめん、話し中だったよね…?」
彼女は申し訳なさそうにあたし達の顔を伺う。
「あ、あー!気にしないでください!あたしもう帰るし!」
(…何気を遣ってんだろ…)
「まどか、紹介する。こいつが例の名取奈緒だ」
「あっ、なるほど…」
「ちょ、ちょっと!例のって何!?」
そんな紹介のされ方で妙に納得しているまどかさんに、こっちが驚く。
「小学校6年間同じクラスで、うるさい女ががいたって話してあったんだよ」
「何よそれ!!失礼な!!;」
彼女にあたしのことを話していた…。
それがたとえ悪口だとしても、奈緒は嬉しくて顔がニヤけそうになった。
「奈緒、この子が彼女の紗山まどか。可愛い子だろ」
(…舞い上がるなってことかな。神様はどこまでも意地悪だ…)
ニヤけそうだった顔の筋肉は一気に固まった。


