「…隼人…」


「やっぱ奈緒か。図書館と奈緒って、変な組み合わせだなー」

「し、失礼ね!あたしだって本くらい読むわよ!」


 小学校の時となんら変わりない隼人の憎まれ口。

変わらない。

いっそ変わっていてくれれば、忘れられたかもしれないのに。



「…隼人こそ、何してるの?」

「オレも図書館にいたんだよ」

「そうなんだ…休みの日なのに、か、彼女さんは…?」


 彼女の話なんかしたくないのに、勝手に口が動いてしまう。


「…一緒に来たんだよ。彼女は、図書館の隣にある市民館で習い事があるから、オレはそれ待ち」

「…そ、そっか」



 聞くんじゃなかった。

自分で自分を傷つけるなんて、バカみたい。


 「…まじめなんだね、彼女。図書館から出てきたってことは、もう終わる時間なの?」

「いや、あと10分くらいあるかな。図書館の中から、お前が見えたから」

「!!」



 なんで。


なんでそういう、あたしに期待させるようなことばかり言うの?

隼人、あたし、あんたが好きなんだよ?

彼女いるくせに、優しくしないで…。