「はーあ…」


 奈緒は思わずため息をついた。

青く晴れた空を前に、奈緒の心は曇りのまま。


 今日は土曜日で、部活も休み。

奈緒は暇つぶしに図書館へ来ていた。

難しい本は苦手だけど、恋愛小説やファンタジーは好きなので、暇つぶしにはちょうどよかった。

だけど心を晴らすには足りなかった。



 月曜日に俊に告白されてからの4日間。

周りに、特に葉子に怪しまれると困るので、奈緒と俊はうわべだけは普通に接していた。

だけどやっぱり、どうしても自然には出来ない。

普通と言っても、奈緒からは話しかけないし、俊も奈緒をからかう回数が減った。


俊が何を考えているのかはわからないけど、あの告白が冗談とも思えない。

だからこそ、どう接したらいいのかわからなかった。



 正直、ドキッとしなかったわけじゃない。

入学式からずっと一緒にいて、俊の良さもたくさん知った。

それに、隼人と会えなかった期間、寂しさを埋めてくれたのも俊だ。


 そして失恋。

何度隼人を諦めなければと思ってきたか。

そんな時に俊の告白。


 隼人のことが変わらず好きだけど、少し揺れたのも事実だった。