「…っは、なせ…っ」

奈緒は勢いよく俊を突き飛ばした。

「何すんのよ!!」

突き飛ばされた俊はよろけながらも奈緒を見る。


「…オレが、どのくらいお前を好きか、証明するためのキス」

「何バカ言ってんのよ!!」

いつになく真面目で大人っぽい俊に、奈緒は戸惑う。


「だってお前、オレがただ告白しただけじゃ信じないと思って」

「だ、だからって…!!」


 告白されたことにも、キスをされたことにも、奈緒はただ驚くしかなかった。


「な、なんで、あたしなのよ!いつもバカにするだけのくせに…!」

「…オレは、ガキなりに、真剣に考えた。隼人のせいでボロボロになるお前を見たくない。オレなら、そばにいて、笑顔にさせてやれる」

「……っ」


「…考えといて」


それだけ言って、俊は再び荷物を持って去ってしまった。



 「…俊が、あたしを…?」


奈緒は突然の告白に、ただ混乱するしかなかった。