授業で習う前から、英語に興味があると話していた隼人。
バスケはお兄さんの影響で、小さい頃から続けていた。
そして家族が多いから、早めに家を出て集中して勉強したいとも、よく冗談まじりに話していた。
将来のことなどまだ全然考えていなくて、頭も平凡な奈緒は、「そうなんだ」くらいにしか思っていなかった。
まさか、そんなに近い未来に考えていたなんて、思わなかったんだ。
「…なるほどね…。あなたは昔から、興味のあることには真っ先に挑戦する子だったものね…」
「…はい」
「でも、それで本当にいいの?…なんて、私が言ってはいけないことなんだけど…ずっと仲の良かった名取さんとも、なかなか会えなくなるのよ…?」
ふいに自分の名前が出て、ドキッとした。
「…また、会えますから」
その言葉を最後に、二人は違う話題になった。
奈緒の頭は混乱したままだった。
混乱の中で、一つだけわかった。
(隼人が…別の中学校に行っちゃう…!!)
たかが隣の市。
そうは思っても、まだ子供である奈緒たちには、とても遠い距離に思えた。
隼人が先生との会話を終えて、教室の外に出てくるのにも気づかず、奈緒は呆然と壁にもたれかかっていた。


