「…まだだ。まだ…全然元気じゃない」
「え…?」
呟くような俊の声に葉子は驚く。
「ただ空回りしてるだけだ、あいつ…オレたちに心配かけねーように」
「…俊…?」
初めて見る俊の切なそうな顔に、葉子は思わずその横顔を見つめた。
「…奈緒ー!!これ職員室に持ってくぞー!!」
「はー!?」
切ない顔を一瞬で消して、俊は奈緒に声をかけた。
「ちょっと行ってくんな」
俊は隣にいる葉子に軽くウインクし、不満そうな奈緒をずるずる引きずって教室を出た。
その二人の後ろ姿を、葉子はただ見つめていた。
「葉子と一緒にいたんだから、葉子をつれていけばいいじゃなーい!」
結局職員室に持っていくという荷物も俊一人で持っているし、奈緒は文句をぶつける。
「お前に話があるんだよ」
「話?」
「ちょっと来い」
「え!?ちょっと!!」


