休みが明けて月曜日。

「…奈緒、大丈夫?」

 いつもと変わりなく学校に来た奈緒。

そんな奈緒に葉子は心配で声をかける。

「ん?大丈夫だよ」

奈緒は笑って見せた。


(…どんなに好きでも、彼女がいるんじゃしょうがないよね…諦めなきゃ…)


奈緒は自分にそう言い聞かせて、明るく振舞おうと決めた。

せめて葉子と俊には、心配をかけたくない。



 今は総合授業の真っ最中で、クラスで自由研究の発表のために、各々工作や絵を描いたりと、まるで文化祭の準備のように盛り上がっていた。

「奈緒ちゃーん!ちょっとこれ手伝ってくれるー?」

奈緒は頭も悪いし運動神経も普通だが、こういう美術系は得意なため、あちこちに引っ張りだこだった。

「はいはーい!葉子、ちょっと行ってくるね!」

「うん…」


 とりあえずは笑っている。

まだ死んだような顔をしているのではと心配していた葉子は、少し安心した。


 「奈緒の奴、忙しそうだな」

「あ、俊」

「奈緒にこんな特技があるとは思わなかったぜ」

ケケッと笑う俊に、葉子も微笑む。

「そうね、でもよかった。少しは元気出たみたいで…」


そう言ってホッとする葉子の横で、奈緒の後ろ姿を見て、俊は顔をしかめる。